西野皓三│嗅覚の時代②

今こそ、嗅覚が必要な時代②
頭脳第一主義で生きている現代人は、嗅覚が弱くなってしまっています。生物としての人間の生命は、嗅覚の助けを借りて初めて活き活きと生きていくことができるのだということを、しっかり認識しなければなりません。
人間は素晴らしく敏感な嗅覚を持っているのです。嗅覚の敏感さをニオイを測定する機械と比較することで科学的に証明したデータが『嗅覚の話』に載っていますが、その結論は次のように書かれています。
嗅覚の第一の特性はその驚くべき感度である。今日、科学の進歩につれて測定機械も素晴らしい感度を持つようになってきた。空気中の科学物質の存在を探知し、その濃度や種類を計る機械はガスクロマトグラフと呼ばれるものである。そこでこの機械の方がはるかに優れていることが知られている。n-プロパノールとジメチルサルファイドについて見ると、嗅覚の方がかなり劣っている。特にアセトン2-ブタノンではガスクロマトグラフでは、人の嗅覚より1万6000倍も優れていることが」わかる。しかし他のニオイについて調べた結果から見ると、これらの物質がまったく例外的なものであることが分かった。おそらくニオイの99%以上に対しては“鼻”の方がガスクロマトグラフよりはるかに敏感で優れているといえる。
高度で複雑な社会に住んでいるからこそ、人間は嗅覚を12分に発揮し、ひらめきに満ちた味わい深い豊かな人生を築いていかなければならないのです。

2024年4月
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