西野皓三│西野流の対気②

西野流“対気”で、なぜ才能が引き出されるのか②
西野流は人間の身体を「細胞レベルでたがいにエネルギーのコミュニケーションを行っている生命体」と捉えています。“対気”は、エネルギーを細胞レベルでより円滑に、効率よく、循環交流させるための方法なのです。
ここで大切なのは、生命エネルギーは身体内部の細胞間でコミュニケーションを行っているだけではないということです。私たちの細胞は、外部、つまり、他の人々の身体(細胞) ともコミュニケーションを行っているのです。
人生において逆境が大事だというのは、逆境がこの「外部とのエネルギー・コミュニケーション」を引き出してくれるからです。
西野流の“対気”は、逆境を演出することなく、生命エネルギーをたがいにコミュニケーションさせようというメソッドなのです。
対気の稽古を行うと、誰でも強い生命エネルギーを受けます。ある人は後ろに跳ね飛んでいきます。また、ある人は歓喜の叫びを上げ、声を上げて笑い出します。歌を歌い出す人も、ダンサーのように踊る人もいます。その見事な体の動かし方は、その人がスポーツやバレエなどまったくやったことがないとは思えないほどです。
“対気”の風景は、脳(理性)で支配されている現代社会においては、少々奇異な現象のようにも見えるでしょう。しかし、人間の身体(細胞)は、生命エネルギーを受けると快感を感じ、勝手に動き出してしまうものなのです。
古代、人類がまだ言葉を持たなかった時代には、獲物を得、食物を食べると人々は踊り出し、歌い出したものです。おいしい物を食べるとは身体に生命エネルギーが入ってくるということなのです。赤ん坊が好きなものを口に入れると、とたんに、にこにこし、手足をばたばたさせて喜ぶのも、エネルギーが身体に入るからなのです。
人間を「細胞レベルでコミュニケーションしている生命体」と捉えれば、“対気”で心地よい生命エネルギーを受けると、細胞がワクワクし楽しくなり、身体が勝手に歌ったり踊ったりしたくなってしまうのは、ごく当然のことなのです。
西野流の“対気”は、苦しい思いをするのではなく、生きていることの快感を感じながら、逆境を経験することに勝るとも劣らぬほど、自己のエネルギーを高めることができる稽古方法なのです

2024年10月
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