西野皓三│人工知能できない②

なぜ、人工知能は実現しないのか②
それだけ膨大な情報を記憶でき、天文学的な確立計算を瞬時に解けても、あらかじめ答えが決まってない、現実のさまざまな問題を自由に思考したり、独創的なアイディアを生み出す人工知能は今もって生まれません。
現実の超ハイテク・コンピュータは、宇宙開発などさまざまな領域においては信じられないほどの超能力を発揮しています。そのスーパー・コンピュータは、一つのことにおいて素晴らしい能力を発揮できても、当然、他のことに関してはまったく無力です。
現実に生きている人間の脳は、単独に機能しているのではありません。腸管内臓系(身体知)の支えによって、実に多種多様なことをこなすことができるのです。人間の知とは、たくさんの情報をインプットすることのみによって作られているのではないのです。…これこそが、人間の脳の最大の特色なのです。
この腸管内臓系の秘密が解けないかぎり、人工知能はできない、ということでしょう。
人間の頭脳の持つ、無限に近い応用能力は、腸管内臓系を中心とした身体知に支えられています。人工知能を作るには、ミンスキーのように機械論的に「脳こそが人間の本質だ」と考えて、脳の機能だけを研究していては難しいでしょう。脳だけではなく身体、特に腸管内臓系の働きを研究する必要があります。
さらに情動の源であるその腸管内臓系と脳との関係、また、脳の中でもその情動を「こころ」を作ることはできないでしょう。「こころ」がないコンピュータは、意思を持つことはできないのです。
デカルトはコギト・エルゴ・スム、つまり「我思う、ゆえに我あり」と言いましたが、これでは人間存在の根拠としては不十分なのです。「我動き、感じ、思う、ゆえに我あり」と言わなければならないのです。