西野皓三│文明は自己愛から①

文明は「自己愛」から生まれた①
人間の場合も利己を突き詰めていけば、やはり利他に通じます。
しょせん自分を愛せないような人は、他人も愛せないでしょうか。
現実的に見ても、たった一人で努力したところで、人間の力には限界があります。他人と協力し合い、知恵を出し合って生きたほうが、結局は自分も長く生きられるのです。自己を大切にしようとすれば、結局、利他の心が必要になってくるのです。
利己というと、自分だけがいい思いをしたい、他人のことはどうでもいいというこおとだと思われがちです。しかし、本来の、つまり生物としての利己(自己愛)は、他と調和して生きるということに繋がるのです。
人間の決断の基準が生存本能に根ざした情動であるからといっても、けっして人間の価値を低めることにはなりません。情動という基準があるからこそ、人間は他の人々と共存できるのです。
たとえば、フランス革命は、「自由・平等・博愛」という理念だけによって起こされたわけではありません。富を独占し、贅沢の限りを尽くしたルイ王朝の絶対王政という圧政のもとで、我慢を重ねてきた民衆が、パン一斤の値段が1か月分の給与にまで跳ね上がったことで、ついに立ち上がったということなのです。