西野皓三│すべて生命現象①

文化も文明も、すべて生命現象①
生命現象というと、通常、呼吸をすること、食べること、消化すること、排泄すること、身を守ること、生殖活動を行うこと、子供を育てることなど、いわゆる生物学的な側面を考えがちですが、言語を操り、複雑な社会を形成する、人間のような高等動物の場合は、その社会活動全般、さらには個人の創造営為もすべて含んでいるのです。
NATO(北大西洋条約機構)や国連を作って国際的平和を維持しようとすることは、ひじょうに高度な政治的・外交的なことですが、その本質はもちろん「身を守る」という生命現象です。
現代のように国際化した人間社会で身を守るには、個人レベルの努力ではカバーできない部分があります。各人の属する国家の防衛システムや、地域の集団的自衛体制、そしてそのパワー・バランスを考慮しなければならないのです。それで人類は国連やNATOなどを作って国家レベル地域で身の安全を図ろうとしているのです。
EC(ヨーロッパ共同体)やEU(ヨーロッパ連合)のような経済共同体を構想し、実現しようとすること、またサミットやG7(7か国蔵相会議)のような国際経済会議を開催することも、もちろん生命現象です。経済力は、食べるという生活の基盤を支えるだけでなく、時には軍事力以上のパワーを発揮して、国すなわち身を守ってくれます。
パソコンで世界と情報を交換することも当然、生命現象です。
現代において情報は、人間が安全に、よりよく生きていくうえで不可欠なものです。今や新聞やテレビといったメジャーな情報を、受動的に受け取っているだけでは生きられない時代に入ったと言えましょう。個人個人でインターネットのような情報ネットワークをコントロールする必要が出てきたのです。これもまた、社会に流されないように身を守る手段だと言えるでしょう。

2024年4月
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