西野皓三│舌が緩めば、

舌が緩めば、心も身体も緩む
舌出しはスポーツ選手だけに限りません。舌出しは、本能的な天才に見られる特徴だと言ってもいいでしょう。その中でもアインシュタインの舌出しは最も有名です。大きく舌出したアインシュタインの顔が本の表紙になっているものもあります。
天才的な音楽家にも、舌出しは見られます。
以前、NHK衛星放送で「ホロビッツ・ラスト・ロマンティック」という特集がありましたが、その時もお得意のショパン(「スケルツォ第1ロ短調作品26」)の最後のクライマックスで、ホロビッツは長々と舌を出し、自らの絶妙な演奏の出来に、いかにも満足気な笑顔を見せていました。
舌を発生学的に見ると「腸管というinner tubeの入口が脊椎動物の歴史の中で、しだいに体壁というouter tubeの筋肉によって取り仕切られるようになるひとつの流れがうかがわれる」(三木成夫)ということになります。
無意識に動く植物の筋で出来た腸管の先端に、意識的に動かすことの可能な動物筋の舌が誕生したということなのですが、舌は「ものを食べる」という、最も本能的な営為を行なう部分であるだけに、意識と同時に無意識が共存して円滑な機能(動き)を促しているのです。
極度に緊張したり、疲れていたりして身体のバランスが崩れると、無意識によるコントロールが利かなくなり、食べている最中に舌を噛んでしまうことが起こります。逆に完全にリラックスしていると無意識のコントロールが全開となり、機能的に必要でなくても自然に舌が動いてしまうのです。
舌出しは、その人が完全にリラックスしていることを示します。
天才に舌出しが多いのは、彼らが「ここぞ」という時にそれだけ本能的に身体を緩めることができる身体知の持ち主ということです。

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