古歩道│医者の「言い値」医療

アメリカの医療は事実上、医者の「言い値」
本来、アメリカの医療体制は、ここまで酷くはなかった。それが「医療訴訟」という伝染病に罹った結果、アメリカの医療体制は「重病患者」となった。病気で身体がボロボロになってやせ衰えるように、そのやせ衰えた部分が「医原病」による死者であり、最低200万人ろ想定されている医原病の被害者たちなのだ。
医療訴訟という病気は、過剰医療と防衛医療という症状をもたらす。それが医療費高騰と治療の長期化という疾病となって、深刻な合併症となって現れている。
自由診療化、病院の株式会社化である。
何かあれば訴えられ、訴訟する状況下では、当然、腕のいい医者ほど「リスクリターン」を求め出す。失敗すれば医療裁判で負けて身ぐるみ剥がされる危険な手術をしてほしいのならば、そのリスクに見合った金を払え、というわけだ。
通称「ブラックジャック現象」である。どんな病気も治すが、高額な治療費を要求する、そんなブラックジャック・スタイルが、アメリカではあたっり前であり、スタンダードなのだ。人の命を脅して金をせびるブラックなハイジャック、といったほうがいいか…。
その証拠にアメリカの医療費は、事実上、医者の「言い値」となっている。日本で言えば動物病院と代わらない、いや、銀座の高級寿司屋みたいなもんか。最高の食材は「時価」、職人の「言い値」を黙って払うところまでよく似ている。
この自由診療化が加速した結果、各自治体や宗教団体、慈善団体が寄付や税金で賄う非営利目的の公的病院は、腕のいい医者を確保できなくなった。良い医者がいなければ、過剰医療と防衛医療はますます広まり、いずれは破綻することになる。
地域の中核病院を失えば、そのエリアに人が住みづらくなる。なんとか医療体制を維持するため、最後の手段として民間への売却が検討される。民間病院は利益が目的なのでセットで病院の株式会社化も進む。
ここで重要なのは、株式会社制度自体、破綻した公的病院を再建するためのアイディアであったことなのだ。膨大な初期コストのかかる病院設備や医師、医療従事者の雇用をファンド形式で資金調達する。そのエリアの地域住民、地元企業、名士、各種団体などが新病院の「株式」に出資、医療体制を維持するのが目的なのだ。きちんと運用すれば医療の再建につながり、たくさんの人を救える制度なのである。
現代の医療体制が「人殺し」化しているのは、この素晴らしいアイディアでさえ、「金儲け」を優先し、人の命を蔑ろにする連中が後を絶たないことなのだ。