古歩道│黒幕は医薬品業界①

いったん、話を整理しよう。
アメリカの医療システムは1950年代ぐらいまでは、きちんと「人を救う」ことが前提に制度設計されていた。国民皆保険制度こそなかったが、企業や各種団体の健康保険制度は充実しており、好景気に湧いていた当時、国民皆保険を求める声も小さかった。また、慈善団体による非営利病院で貧しい人も医療をうけることができた。
変質したのは、「医療訴訟」の多発が原因だった。正確に言えば、医療訴訟で医師や病院側が敗訴、アメリカ特有の懲罰的損害賠償で高額な賠償金を払わされ続けたことにあった。結果、医療裁判用の保険など経費が上昇、その上昇分は治療費の高騰につながり、保険組合などの公的機関が耐え切れなくなって次々と破綻、非営利病院の民営化が加速していく。その過程で巨大病院チェーンが登場、ヴァンパイア効果で医療が「人の命を救う」ことより「金儲け優先」へと切り替わる。
腕の良い医者は「ブラックジャック」化して自由診療に流れ、腕の悪い医者は過剰医療と防衛医療で汲々とする。過剰医療と防衛医療は不必要な診断や治療の増加につながり、治療費負担が増えれば民間や公的機関の医療保険料も上昇する。こうして高額な保険料と医療費に耐え切れなくなった結果、世界最強の超大国アメリカで全国民の6人に1人、4600万人もの人が無保険状態となっていった。
この4600万人の無保険状態というのが肝なのである。この4600万人を作り出すために「まっとうな医療体制」が潰されたのだ。
では、誰が潰したのか?それを考えるとすれば、誰ならば「潰せたのか」という視点で見れば、すぐに分かるだろう。それが可能な業界は一つしかない。
アメリカの医薬品業界である。

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