古歩道│現代医学とは①

採算度外視の戦場医学が採算重視で平和時も支配した①
西洋医学の本質は「戦場医学」にあった。ヨーロッパで戦乱や戦争が何世紀にも渡って継続してきた結果、ヨーロッパで発展することになった。
事実、「戦場医学」そのものは、歴史上、いたるところで発展している。
たとえば日本では戦国時代にかけて「僧医」が登場した。死者を弔うために従軍していた僧侶が自然と治療を担うようになったものといわれている。日本はヨーロッパと違い、17世紀初頭、国内の戦乱が終結、19世紀末までの約250年間、平和な時代となった。そのため戦国時代、僧医が中心となって発展していた戦場医学は廃れてしまった。徳川体制があっけなく崩壊して内乱が続くなり、あるいは徳川政権がヨーロッパ諸国のように積極的な対外進出を行っていれば、日本にも西洋医学同様の戦場医学が発展していたことだろう。
中東ではイスラム帝国発展期に麻酔による外科技術が発達した。生贄の儀式のために奴隷獲得戦争を繰り返してきた中南米のインカ帝国やマヤ帝国では、開頭手術を施したミイラが多数、見つかっている。穴を開けた骨が成長していることから、術後も長生きしたのだろう。かなり高度な外科技術があったのだ。中国でも3世紀の三国志時代、医術師の華佗が、すでに麻酔による開腹手術や火傷した皮膚の移植手術を行ったと文献に残っている。
しかし、これらの医術は、すべて途絶えている。戦場医学は、当たり前だが、平和な時代になると廃れてしまうものだからである。
そもそも「軍事技術」は、いつの時代でも金食い虫で、国家の存亡をかけて莫大な予算と人材をつぎ込んで必死に開発していったものでも、平和になれば簡単に技術が断絶すうる。いわゆるロストテクノロジーとなることが多いのだ。
たとえばアメリカのスペースシャトルを廃止した途端、有人宇宙飛行ができなくなっている。実はアポロ時代まで使っていた地球帰還用の宇宙船技術、地上落下用のパラシュートを折りたためる職人がいなくなったためなのだ。この手の特殊な技術は、ごく少数の職人によって支えられていることが多く、いったん、技術が断絶して後進の育成が途絶えると、やり方や手法などの知識が残っていても復元できなくなってしまうのだ。