古歩道│現代医学とは②

採算度外視の戦場医学が採算重視で平和時も支配した②
その意味で言えば、西洋医学は軍事技術ながら、16世紀以降、ほとんど断絶することなく継続して発展してきた。歴史的にも稀有な例なのだ。非常にハイレベルな医療体系まで継続してきたことが、人類に多大な恩恵を与えることになったのである。
それでも、いや、だからこそ、私たちは、こう問わなければならない。
「確かに戦争は、今現在、世界中で起こっている。だが、アメリカ、イギリス、日本、少なくとも先進国の多くは、半世紀以上、国内が戦場になったことはない。なのに、どうして戦場医学である西洋医学だけで、国内の医療体制を作っているのか」、と。
しつこいようだが、西洋医学が戦場医学として発展してきた以上、もともとコスト度外視の「医療」といっていい。それでも銃弾が飛び交う戦場や、雨のように砲弾が降ってくる戦地の都市では、西洋医学による医療は不可欠だろう。どんなに医者がいても多すぎることはないし、腐らせるほど医薬品があっても構うまい。
しかし戦争が終わって平和になれば、西洋医学の医師や医薬品もそこまで必要はなくなる。西洋医学の特徴とメリットは「即効性」にある。すぐに効き、すぐに治る。確かに戦場ならば採算度外視でも即効性のある治療を優先する。副作用の懸念があろうが効果の強い医薬品をばんばん使用するだろう。時間をかけてじっくり治す療法を選べば治る病気でも、腹をかっさばいて患部をごっそりと切除するほうを選ぶだろう。手足を切断しようが、多少の不具者になろうが、戦争継続には、そのほうが有益だからである。戦争とは、良くも悪くも狂気の世界であり、軍事技術として発展した西洋医学もまた、狂気をはらんだ特殊な「医療技術体系」ということを忘れてはならない。
もちろん事故や怪我は一定数、存在する以上、平和な時代でも西洋医学の需要はある。しかし、せいぜい3割から4割程度あれば十分なのだ。言い換えれば、残り6割から7割は、西洋医学のエキスパートでなくてもいいはずなのだ。