古歩道│日本医師会①

日本の医療を「殺した」犯人①
日本医師会。実に奇妙な組織である。
どんな組織なのかは誰でも知っている。読んで字の如し。医師たちの親睦団体である。もう少し正確にいえば「開業医」の団体で、民間病院の医院長やオーナーである「開業医」をA会員、民間病院に務める「勤務医」をB会員に、2012年現在、約16万6000人の会員を持つ。
政治に詳しい人ならば、この日本医師会が屈指の「圧力団体」と指摘するだろう。
開業医の集まりだけに献金額も膨大なのか、選挙間近になれば日本医師会のバックアップを求める候補者が各都道府県医師会に殺到する。医師会が、どの候補を支持するのかがニュースとして扱われるぐらいだ。また、医師会自ら比例代表で候補を立て、日本薬剤師会(会員10万人)、日本歯科医師会(会員6・5万人)の「三師会」の組織票で必ず当選を果たしている。強力な業界団体のひとつなのは間違いあるまい。
年配の人ならば、すぐさま、ストライキを思い出すことだろう。
1971年、診療報酬値上げを求めた医師会は、保険医総辞退という医師会所属の医師たちによる大規模ストライキを決行している。1961年にも一斉ストライキに突入寸前となって、この時も政府を譲歩させることに成功した。ブルジョアの集団のくせに労働組合顔負けの行動力も持ち合わせているわけだ。
確かに誰もが、その存在を知っている。それなのに、どこか実態がよくつかめない。医師会には、そんな奇妙な印象を受ける。
本来、業界団体が政治に影響を持っていること自体、おかしな話なのだ。ジャーナリストや作家の団体に「日本ペンクラブ」がある。名前こそ立派だが、組織の最大目的は会員の「社会保険(健康保険)」加入なのだ。個人事業主なので仲間を集めて健康保険に加入できるようにした。医師会とよく比較される日本弁護士連合会(日弁連)や日本税理士会連合会(日税連)なども、とどのつまり、社会保険、年金、あとは開業資金の援助などを目的としている。組織自体、たいして大きくないのだから圧力団体にはなりえないし、政治に関わることもない。ましてやストライキを決行できる命令系統など存在すらしない。単なる仲間の互助組織なのだから当然だろう。