古歩道│薬害エイズ事件①

薬害エイズ事件の深い闇①
病を処方する「闇の医師」。その言葉を聞けば、多くの読者が「薬害エイズ事件」の関係者を思い浮かべることだろう。
1980年代にかけ、加熱殺菌処理をしてない輸入血液製剤によって、血友病患者1800人以上が「エイズ」(ヒト後天性免疫不全症候群)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した事件のことである。
全血友病患者のうち4割の人が感染、6000人以上が亡くなるという実に痛ましい事件だった。血友病は血液が凝固しない遺伝子病で、ちょっとした出血、たとえば鼻血などでも命に関わる。そのため日常的に血液を凝固させる血小板を抽出した血漿から作った血液製剤を服用する。その命をつなぐ薬で命を奪われたのである。患者本人のみならず家族までどれほど苦しめたことか。感染を苦に自殺した人も少なくなかったぐらいだ。
この事件が大きな社会問題となったのは、製造、販売した医薬品メーカー、その医薬品を認可した厚生省(現厚労省)、薬の使用を勧めた医師たちが「汚染」を知っていたことにあった。知っていながら、何の対処も行わなかった。この呆れた実態に世間は激怒したのである。事実、1989年から始まった「薬害エイズ訴訟」の裁判で、信じられないような事実が次々と明るみになる。

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