古歩道│ミドリ十字①

利用されたミドリ十字①
薬害エイズ事件の主犯はバクスターとバイエルだったとすれば、なぜ、この巨大メーカーは明らかな犯罪、大量殺人に手を染めたのか?
理由は難しくないのだ。口にもしたくないことだが、血友病患者を「エイズ治療薬」の実験動物にするためだったのであろう。アメリカのエイズ患者の多くは、麻薬中毒や同性愛者だった。事の経緯から感染を隠しやすく、また発症して病状が悪化するまで病院にはなかなか来なかった。その点、血友病は遺伝病なので小さい時から病院に通っている。もともとデータが揃っているところに、血液製剤によって感染すれば、発症までの細かいデータまで取れるのだ。しかも血友病患者は、他人の血液を必要とする性質上、B型やC型の肝炎キャリアが多く、その治療薬の開発に協力してきた。そんな血友病患者がエイズに感染すれば、どうなるか。命に関わる以上、否が応にも「治験」に協力する。
ここで重要なのは、先ほどの事件の構図である。薬害エイズ訴訟で主犯とされたのは日本側関係者にあった。血友病患者が憎み、メディアが糾弾してきたのも日本の関係者だった。とくにターゲットとなったのが、厚生省エイズ研究班の責任で血友病の権威だった安部英帝京大学医学部長(当時)と、ミドリ十字だった。安部英は、いかにもマッドドクター然とした独特のキャラクターが必要以上に注目され、文字通り、最高の「悪役」となっていた。またミドリ十字の経営陣には関東軍防疫給水部、通称「731部隊」に所属した軍医たちが関わっていた。

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