古歩道│悪魔の部隊③

「悪魔の部隊」が生まれた背景③
実際、731部隊の人体実験の研究成果、さらにナチスの研究を引き継いだフォード・デトリック、つまり、アメリカ軍は、その後、殺人ウイルス兵器を作っては世界中でばら撒いてきた。たくさんの人を殺してきた。しかし、彼らの「罪」は決して問われることはない。問われそうになれば、実にタイミングよく、731部隊やナチスの悪事が露呈し、なんとなく誤魔化されてしまうからである。
731部隊の問題は、単に敗戦直後、その悪事が隠蔽されたことだけではない。戦後乍らく731部隊が悪魔の部隊でなかったされたことが、戦後、彼らを「悪魔の医療マフィア」にしてしまった、そう考えているのだ。
実際、731部隊(関東軍防疫給水部)は、表面上、かなり優秀な組織として評価されていた。日本が支配していた満洲国や日本軍が進出していた中国大陸における防疫、給水、さらに医療を担っていた。部隊長の石井四郎は、給水のプロフェッショナルで、石井の開発したろ過器は、「命の水」といって兵士たちから絶大な信頼を受けていた。なにより731部隊は、日本の医学界が威信をかけて創設した西洋医学のエリート中のエリート集団だった。
だからこそ戦後、軍隊が解体されると、旧731部隊所属の軍医や研究者は、日本の医学界に復帰、中心的な役割を担っていったのだ。東京大学や京都大学、北里大学の教授職といった教育・研究機構、国立予防衛生研究所などの全国の公営病院や保健所、厚生省の医療行政など日本の医学会で中心的な役割を担っていく。彼らの経歴からすれば、ごく自然のことなのだ。731部隊が本当に「悪魔の部隊」で、中国大陸で数千人にも及ぶ無辜の民衆や捕虜に「人体実験」をしていたことが明らかになれば、いくらエリート集団といっても、さすがに日本の医学界も縁を断っていただろう。何も問題はなかった、そう判断していたからこそ医学会の中心メンバーとして迎い入れたのである。

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