古歩道│アヘン戦争の真実②

この時代、アヘンは、「貨幣」としての価値を持っていた。農作物に乏しい中国の東北部、モンゴルや旧満州エリアにおける商品作物の主流はケシの栽培によるアヘンだった。隊商たちは、銀の代わりにアヘンの樹脂を固めて、あらゆる商品と取引していた。アヘンは嗜好品なので、常に一定の需要がある。生産量も一定で、とくに、この時代、ヨーロッパとの対外貿易で大幅な黒字を出していた清では、代金として支払われる銀がインフレを起こし、暴落していた。むしろ、アヘンのほうが「貨幣」として安定していたのだ。二重通貨システムで経済をコントロールしてきたわけだ。
もうお分かりだろう。イギリスは、インドでアヘンを生産、それを持ち込んで、銀を買い取った。要するに偽札を作って、それで銀を奪っていたのだ。清政府が激怒するのも当然で、単純に禁制品を売ったというレベルではない。歴史に残る、史上最悪、極悪非道な商道徳にもとる最低の行為だったのである。
アヘン戦争後、清の経済はあっけなく破綻する。銀の大量流出で銀は高騰、逆にアヘンの大量流入でアヘン価格は大暴落したのだから当たり前である。一方のイギリスは、清の裏経済ともいうべき「アヘン」を握り、膨大な利益を手に入れた。
そして1874年、アヘンの生成物質モルヒネから、今度はヘロインが誕生する。

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