言霊百神|開闢(中今の意義)⑤

⦿天之御中主神
然らば何故にこの「中今」の自覚態が言霊ウであるかと云うと、ウ音は人間が発する最初の言葉であるから、その音と精神内容とを合わせてあるものである。言葉と心を合わせるとことを「裏合へまかなはす」と云う。裏は心である。かなは神名すなわち音であり言葉である。また天之御中主神が言であることを確立する時、この後から顕れる百神の生成の上に妥当であるから、ウでなければならぬことが逆に証明される。ウに榜(ふりがな)をすれば有・生・動・相・産である。
また然らばこの「中今」の始原の知覚であるウ言霊の心理的正体は何であるかと云うと、人間のみならずあらゆる動植物を通じて、最初の最も単純な、原始的な、直接的な、衝動的な、本能的精神活動は感覚であり、人間にあっては眼耳鼻舌身(色声香味触法)の五感感覚である。宇宙に生命が発現しても、なお未だ自と云う主体と、他と云う客体が剖判する以前、すなわち思惟である知性が活動する以前に於いて、何かが有ると云うその中今の知覚の正体は実はこの最も単純な感覚である。人が朝眼を醒ます場合、また嬰児の知性が発現する場合も、最初にこの自他未剖の感覚が活動する。アメーバもクロレラも既にこの感覚を持っている。然らば此の感覚とは何であり、その内容は如何なるものであるかと云う自覚と判断はその後の知性の活動による所のものであって、感覚そのものの作用ではない。これは宇宙剖判、自他分離以降の問題である。

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