言霊百神│創造の序曲⑤

天沼矛(あめのぬぼこ)①
現象的に直截に説明すれば言語を発する器官である舌のことである。舌は矛(鋒)の形をしている。然し舌は舌だけで活動するわけではない。舌は心の動き、心を言葉をまとめ上げて宇宙の事を表現する宇宙の機関の一つである。この舌を縦の次元的意味に使えばアイウエオの五母音五行五大が現わされ、横の時間空間的意味に用うればキシチニヒミイリの八父韻八卦が現わされる。ヌボコのヌは貫(横)、ホコは霊凝(ほこ)で、八父韻の発現には特に舌の活動を要する。「敷島の大和言葉をたてぬきにおる賤機(しずはた)の音のさやけさ」(昭憲皇太后)。
天沼矛はすなわち剣、または太刀である。神剣であり霊剣である。古来宗教書には剣(つるぎ)と云う語が極めて多く用いられている。「おのづから旋転る焔の剣」(『旧約聖書』「創世記」)「剣を投ぜん為に来れり」(『新約聖書』「マタイ伝」)「珍重す大元三尺の剣」(「臨刃偈」)「両頭俱に截断すれば一剣天に倚って寒じ」(『槐安国語』)「三十年来剣を尋ねる客」(「霊雲の偈」)などと云われ、神道に於てもまた「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」「高倉下の剣」「韓鋤の太刀」「十拳剣・九拳剣・八拳剣」等の名がある。知性の剣の活(はた)らきを銅鉄の剣を以て咒示象徴したものである。

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