言霊百神│大行③

然らば如何したならば此の実相の実相性、事実の事実性を、正確に、純粋無雑な状態に、同時に十目十指が斉しく観るところの精錬された客観普遍の状態に於いて取り出すことが出来るかと云うと、此処が右の『法華経』が説く如く、またたとえばハイデガー等の実存の探究に於ける如く、すべての哲学宗教が苦心するところである。
然らばその為には如何すればよいかと云うと、先天が人間精神として、意識として産霊(むす)ばれて行く始原の刹那の過程を純粋に捕らえて行けばよいのである。すなわち認識の主体と客体とが結合されて行く瞬間の経過を、換言すればそのとき主体と客体との間を飛び交って火花となるところの思念(心・識)の動きを瞬間的に内面的に捕捉自覚したらよいことになる。何故ならば先天と云うものはすべての人間に共通普遍のものでなければならない。ここに事実実相認識の根本原理が存する。先天の全内容が人間に取って既に宇宙の全局であるから、その先天の自己顕現として事実を見ることは宇宙の全局から個々の事実を識別することになるのである。

2024年4月
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