言霊百神│創造の失敗②

我が身は成り成りて、成り余れるところ(処、)一ト処(一処)あ(在)り
キシチニヒミイリの父音を発音してみると、音が二段に組み合わされていて、親音イが余音として続いている。これが鳴り余れる音である。父韻は響であって音ではない。然しひびきだけでは発音することが出来ないから、末尾に母音であるイを附して発音する。この時イは父母音の両性を具えたものであるから親音として母音と区別するアオウエの四音を採らずにイを親音とする所に布斗麻邇の特徴がある。父韻は律(リズム)の消長変化をあらわす仏教の云う海潮音(かいちょうおん)である。この鳴り余れる音である父韻の姿を成り余っている男根の形にたとえて咒示してあるのである。岐美二神の御子産みの条(くだ)りは男女の生殖の事に譬えて説かれてある。言語の発生も男女の生殖も共に唯一生命の、然も典型的な活動であるから、比喩がぴたりと当て嵌まる。

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