言霊百神│創造の失敗⑩

『涅槃経』に訳されて仏教の奥義とされている「いろは歌」は母すなわち「妣・いろは」である。四十八の麻邇言霊を連ねて出来ているこの歌は三世諸仏の母である摩耶夫人であり、キリスト教で云えば聖処女聖母マリアである。本講はこれから次第にその内容に分け行くのであるが、四十八言霊を麻尼宝珠と云い一切種智と云う。諸仏救世主はすべて此の四十八言霊から生まれて来る。すなわちそれは諸仏救世主の母体である。
いろはにほへとちりぬるを(諸行無常)
わかよたれそつねならむ (是生滅法)
うゐのおくやまけふこえて(生滅滅已)
あさきゆめみしゑひもせす(寂滅為楽)
この歌の歌の意義がすなわち水蛭子の心である。
だが東洋全体が斯くの如く三千年間の水蛭子の眠りに耽って人類文明に何の貢献もしなかった間に、西欧ではその天職である客観世界、現象世界に於ける独自の営みに孜々として従事し、やがて万有の元素を発見し、遂に電子と原子核を把握して理論物理学を樹立した。
然し一方この科学の原子構造開明の時が同時に三千年の眠りから全東洋が覚醒する時である。この時生命活動の内面的精神的原律の存在に気付いた全東洋が魂の祖国である日本人の指導の下に古き歴史的天職であるその人類精神文明の原理の復古再現のために起(た)ち上る。すなわちこの事を仏陀の下生出涅槃、キリストの再臨、天岩戸開きと云う。この時全東洋の覚醒のための警鐘としてあらかじめ用意して置かれたのが『易』の八卦(特に洛書)であり、『法華経』の諸法実相の教えであり、或いは『新約聖書』「ヨハネの黙示録」第二十一章、二十二章に示された「正明の城(まち)」の出現の預言である。そして『古事記』は是等すべての予言書の予告の内容を実現するための奥義書であり指導書である。

2024年4月
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