言霊百神│境涯と言語⑩

御手繰の一方の闇棜加美である。十指を繰り噛み合わせて神すなわち真理を掌握して行くことである。一二三四五六七八九十(ヒフミヨイムナヤコト)と指を次々に握って行って、最後に握り終えた時、それが宇宙の全内容を十数に於て掌握した形である。この形を幣(握手)と云う。それは宇宙全体を総合した和の形であるから和幣(にぎて)とも書く、みてくら(御手繰)とも云う。
だが然し精神宇宙の全面的自覚としての和幣は数だけでは出来ない。数だけでやると『易』のようなものになって「魔女の九九」(ゲーテ『ファウスト』魔女の厨)として詩人から笑われる。
「汝すべからく会すべし。一より十を作(な)せ。二は去るに任せよ。而して径(ただ)ちに三に之(ゆ)け。然らば即ち汝は富まむ。四は喪失せよ。五と六とより七と八を生ぜしめよ。是の如く魔女を説く。是に於てや成就すべし。九は則ち一なり。十は則ち無なり。之を魔女の九九と謂ふ。」この九九はこれでよいのであるが、然しこれではどうにもならない。元来数は事物の数量と順序を示す抽象的なものであって、その数に事物の実体実質である名、すなわち言葉、特に万有の真奈である言霊を結び付けて握り納めた時、初めて事物の真相を、簡潔に然も正確に把握した事になる。これが神道の和幣である。石上神宮の教えには「一二三四五六七八九十」と唱えて、これに玉(言霊)を結べとある。

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