言霊百神│境涯と言語⑫

握ぎ手と起き手とは表裏をなしている。但し正しい道に遵って和幣が完全な様態に整っているのでなければ其処から正しい掟は生まれて来ない。旧帝国憲法の御告文には「皇祖皇宗ノ後裔ニ貽(のこ)シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス」とあった。統治の洪範は和幣であり、これを紹述する事は掟である。但し実際には明治政府には布斗麻邇としての国体原理の掌握がなかったから、折角のこの宣言も単なる信念若しくは基本要求たるに過ぎなかった。そして大きな抱負をもって出発した維新の意義は次々に崩壊して、百年後の今日精神的大混乱の劫末の時代を招来した。

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